●導入機運の高まり ●LRT計画を決断95導入事例として路面電車サミットで紹介された海外のLRVとよはし市電を愛する会によるLRV市民基金贈呈式(赤岩口の3102号の前で)全面低床電車「ほっトラム」誕生部分低床電車800形を導入したことで、当社は低床電車運用の課題をクリアできたと考えていた。しかし、全面低床電車でもあるLRV(ライト・レール・ビークル)の導入が社会的に求められるようになっていった。平成11年6月、豊橋で開催された「路面電車サミット」のシンポジウムで、他都市におけるLRVの導入事例が紹介された。これが契機となり、LRV導入が市民の希望として語られるようになった。折りしも平成9年の京都議定書採択などを通じて、国内でも環境問題解決に向けた議論が活発化しており、公共交通の利用促進が叫ばれるようなっていた。また同年、建設省(現・国土交通省)は、路面電車の施設改良に対する新しい補助制度「路面電車走行空間改築事業」を創設した。市内線の駅前乗り入れ事業が、同事業の適用第1号となったため、話題が広がった。そして、国土交通省は平成17年4月、路面電車を使った「LRT(ライト・レール・トランジット)システム整備費補助制度」を創設した。かくして豊橋市内でも、路面電車見直しの機運がより高まったのである。当時の市内線は赤字続きで簡単には決断できなかったものの、「会社があるのは豊橋市民のおかげ。市民が望むなら最大限の努力をすべき」との考えが強まった。豊橋市の前向きな提案と、市民の皆様の大きな支援が重なり、豊橋市制100周年(平成18年)の節目に合わせて車両の製造を決定した。市民からの支援では、LRV導入のための募金活動があった。多くの皆様からの導入への期待と、とよはし市電を愛する会の積極的な取り組みに、社員一同、感謝に胸
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