23開通を祝う花電車開業当時の1形3号電車路面電車開通東八町-東田間は、道幅が狭かったため、軌道を敷設するには、道路に面した家屋を移転し、道路を拡張する必要があった。一方で、支障のない東八町までの路線と、大手通りで分岐して柳生橋までの路線は、認可され次第、路面電車を開通させることとした。工事は大正14年6月に完了、7月13日試運転を行った結果、認可書が交付された。かくして、翌14日、駅前(豊橋駅)-神明(豊明館前)-札木(大手通り札木十字路)間と、駅前-柳生橋間で運転を開始したのである。開通3日間は花電車2両を運転、終日満員の盛況となり、初日は乗車人員2,114人、運輸収入91円39銭を記録した。また、7月21日には、札木から赤門(東八町)まで運転を延長した。東八町以東の軌道と架線の敷設が完了し、車庫も東田に完成していたが、残った路線の認可は遅れた。赤門-東田間が開通したのは、大正14年12月25日だった。工費29万1,640円を投じた2.6マイル(約4.16㎞)の路面電車は、こうして全通したのである。同月27日、開通式を華やかに挙行した。開通当初の車両は、定員40人乗りが6両で、その後4両増車して10分ごとに運転した。乗客は、東八町から旭町にかけて軍人住宅が軒をつらねていたため、軍人の利用も多かった。また、沿線に豊橋高等女学校や市立商業学校があり、登下校時刻には満員となった。なお、当初に予定した豊橋駅前-船町の路線は、道路が狭くて軌道敷設が不可能なため、実現しなかった。
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